失敗するパターン2:利益追求

 会計事務所はいつも「利益を追求しましょう」と言います。
しかし、「利益を追求するとうまくいきません。」
逆説的な言い方で恐縮ですが、申し上げたいことは「追求すべきは自分の利益でなくお客様の利益」だということ。
すなわち、先にお客様の利益を追求して、お客様が満足いただいた結果として自社の利益に還ってくるということです。

 まだ禅問答のようで分かりづらいでしょうが、顧客の立場になればお分かりいただけると思います。
たとえばあなたが車を買おうとしていて、3人のセールスマンがやってきたとします。
一人目のセールスマンは、「私は会社からこんなにノルマを与えられて困っています。だから買ってください」と言ってきました。
こんな人からは買いませんね。
二人目は、「当社の車は性能が良いんです。最高時速は200キロも出るんです」と。
しかし普通の人はこんなニーズはありません、街中で200キロも出したら大変なことになります。だから買いませんね。
三人目は、「あなたはこういうことでお困りですね。当社の車ならその課題を解決いたします」と言って納得のいく説明をしてくれました。この人から買いますね。

 なぜでしょうか?
一人目は自分の利益しか考えていないから論外です。
では二人目はどうか。一見お客様のことを考えているようにも見えますが、相手が求めているかどうか確認せずに「顧客はスピードを求めているはずだ」と勝手に決めてかかっています。
これではお客様の利益を考えているとは言えません。勝手に決めてかかったものが当たれば良いですが、そんなものはめったに当たりません。逆に外れればその時点でお客様から見放されて商談そのものがポシャリます。
このようなセールスマンの末路は悲惨なものです。顧客側はそれでもまだ彼を見放したとは言わず、まだ商談が生きているようなフリをします。そして値下げ見積を出させようとします。いわゆる「当て馬」に利用するというやつです。
これに引っかかった営業側は、そうとは知らずに「脈あり」とばかりに喜んで値下げに応じます、既にライバル社に決まっているにもかかわらずです。そして結論を言い渡されると、「お客が悪い」とグチを言うのです。
こういうことを繰り返すうちに、彼は「値段でしか勝負できない営業マン」「それでも売れない営業マン」へと転落していくのです。
 これに対して、三人目はお客様のニーズを十分に把握した後で提案するため外れるハズがありません。だから売れるのです。
お客様の課題の解決になる提案をすることこそ、まさに「自分の利益でなくお客様の利益を追求する」ことです。
お客様が満足してくださるから、値下げなどする必要はありません。その結果として自分の利益になって還ってくるのです。
彼は「真にお客様のお役に立ちたい」との真摯な想いに基づき、ひたすらお客様の利益の追求を図ります。
そのような人こそ、「売り切る営業マン」すなわち「トップセールス」の座を獲得し維持できるのです。